プライド・オブ・ハワイの苦悩

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プライド・オブ・ハワイの苦悩

皆さんはカポタージュ条約というものをご存知ですか?船でも航空機でも、国内線を営業するのはその国の船や航空機でなければならないという規定です。ですからたとえばアメリカン航空は、例えば「東京−大阪利用」のみの乗客を乗せることは出来ません。

クルーズならば外国船、例えばロイヤルカリビアンのクルーズは、日本国内クルーズ、例えば横浜−神戸−博多といったクルーズを企画できません。ですから韓国や台湾に寄航して、そして日本の港に寄航するクルーズでないと営業できないのです。

さて前置きが長くなりましたが、ハワイはクルーズでも絶好の地域ですが、この条約のおかげで、近くに外国がないので、7泊8日のような短期クルーズを営業できませんでした。ところがプライド・オブ・アロハ/アメリカ/ハワイの三隻をアメリカ船籍にして、短期クルーズを可能にした、NCLアメリカの戦略は大成功と見られていました。

ところがクルーズ・クリティック社の記事では、「乗客からサービスに関してクレームの山」だとのレポートがあります。ハワイの場合「フライ・アメリカン」の精神で、アメリカ船籍を取得しないといけないばかりか、乗組員の90%はアメリカ人でないといけないとの規定があります。

クルーズ業界ではクルーは賃金の安い、フィリピン他、世界中から人材を起用しています。そしてクルーを容易に雇うことが出来る市場があります。ところがその中にアメリカ人はとても数が少ないのです。したがって特に最新船であるプライド・オブ・ハワイではアメリカ人クルーの教育が追いついていないと指摘しています。クルーズ・クリティック社の記者が実際に乗船しての感想は「設備や日程はすばらしい。しかしこのサービスの悪さはシステムの欠陥であり、改善するのはきわめて難しい」とまでこきおろしています。

具体的な実例まであげていますので、怒り心頭の乗客が大勢いるのでしょう。私が乗船した二年前のプライド・オブ・アロハ(当時は一隻のみの就航)ではトイレの掃除の行き届かないことに辟易はしましたが、それほどサービスで問題であるとは感じませんでした。近年急激に二隻を投入したために、クルーの経験不足と教育不足が目立ったのでしょう。

私は残念ながら新しい船には乗船していません。どなたか経験者がおられましたら情報提供ください。

来年からプライド・オブ・アロハが短期クルーズから引退するのも、このようなサービス面での改善の一つの動きではないかとかんぐっています。(新しい船のみの二隻体制にして、一番経験のあるアロハのクルーを再配置するのかなと思っています)クルーズクリティックのような影響力のあるメディアにこのようなことを書かれないようにNCLは抜本的な対策を速やかにすべきであると思います。


藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm