大型船の巨大な胃袋

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大型船の巨大な胃袋

クルーズにとって食事と飲み物はとても大切な要素です。2000人の乗客を収容する平均的な外国船の胃袋を見てみましょう。年平均のコーヒ消費量は2万7千キログラム(27トン)、紅茶10万バッグ、150万個の玉子、2万キログラム(20トン)のスモークサーモン、20万キロ(270トン)のじゃが芋などです。

さらに飲み物に至っては一日あたり、ワインにシャンペンが千本、ビール2千6百本、ソフトドリンク3千本ですから私からみれば皆さん大酒飲みです。この収入が船の重要な収益源になっていることがわかります。これだけの物量の飲食物を購入するわけですから、産業界に対する貢献も大きなものがあります。

さきほど開かれたハンブルグでの「シートレードメッセ ヨーロッパ」ではいつになくホテル、ケータリングならびに食料品の業者の参加が多かったそうです。新しい分野への進出を虎視眈々と狙っているようです。また出展側の変り種としてフラシュ技術の専門家が食品の準備から廃却までの設備の展示を行ったり、衛生学の権威が食品衛生にかかわるプレゼンテーションをしたり、かなり盛会であったようです。

2010年までにヨーロッパで30以上の新造船が建造されます。繁忙を極める造船界のほかにキャビンやレストランやバーならびにギャレーなど内装を担当する業者にとっても大きな事業機会です。日本の造船所がクルーズ建造に腰を引いているのも、その膨大な物量に対応できる内装業者がいないことも理由のひとつです。

またクルーズシップの改造にも多額の投資がなされています。2005年には総投資額31億ユーロ(約5兆円)だったものが2009年には44億ユーロ(約7兆円)に達する計画です。現在船齢8〜10年のクルーズ船は170にも達しています。最近の改装は単に内装のリニューアルにとどまらず、最新の設備においつこうと大規模な改造が計画されています。それだけに投資金額も大きくなります。

このように世界のクルーズ需要の拡大により、世界で唯一クルーズ船を建造できる欧州はその恩恵をふんだんに受けています。日本のクルーズ業界はこのままではますます世界の潮流から取り残されるのではないかと心配です。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm