セレブリティ ミレニアム プロペラ事故で混乱

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セレブリティ ミレニアム プロペラ事故で混乱

12泊の地中海クルーズに出発してまもなく、最初の寄港地ビルフラッシュでプロペラが海底の岩にぶつかり、プロペラを損傷しました。その結果10ノットしか速度が出ず、次の寄港地 Livornoを飛ばしてローマのチキタベキアへ直行しました。しかしその後のスケジュールについて不確かな情報が乱れ飛び、乗客は確実な情報を得られず随分イライラした模様です。

このような突発事故の場合、その対応について船長の素早い決断と乗客への素早い情報伝達が何より重要ですが、今回はこの点で十分ではなく、多くの乗客の不満をあびました。ことの経過を説明しましょう。

すでに述べましたようにビルフラッシュでプロペラを損傷し、次の寄港地 Livornoを飛ばしてローマのチキタベキアで修理をすることにしました。16人のダイバーを緊急招集し、修理にあたるべきところ肝心のプロペラ部品が間違った空港に配送され、修理の着手が遅れました。そして修理に関する情報が入り乱れて混乱しました。またこの時点で明確な方針を乗客に伝達できずに乗客に不満がつのったと言います。

多くの乗客は一生に一度的な期待を込めて地中海クルーズに参加しており、今後どのような展開になるのかヤキモキしています。一方で予期せぬローマ滞在が長引き、船側はチキタベキアからローマやフローレンスまで無料バスを提供しました。しかしフローレンスまでは往復で5時間もかかり、あまり楽しめなかったようです。

この時点でクルーズ代金の50%払い戻しとオンボードクレジットをキャビンにより 500ドルから1000ドルまで与えられることが知らされました。これはその後変わることになりましたが・・・さらに船側は様々な無料バスを繰り出しました。中にはポンペイやソレントへのツアーもありましたが、往復だけに9時間もかかるもので、クルーズでの寄航とは大違いですが、船側の努力は大変なものでした。

チキタベキアでの修理に手間取り、この時点ではナポリサントリーニ、アテネへの寄航は中止となりましたが、クルーズ自体は続行する意志が示されました。しかしその後、修理が進まずクルーズは結局キャンセルになりました。このようにクルーズ日程に関する情報は二転三転したのです。一番の関心事が二転三転するようでは乗客の不満が高まるのは当然です。このような、場合もっとも悲観的な情報を流すのが常道です。そしてそれより好転すれば乗客はホッとします。ここのところを船側は間違いました。

結局乗客はチキタベキアからローマ経由で直ちに帰国するか、チキタベキアに当分滞在し、当初の予定通りベニスから帰国するかの選択を与えられました。ベニス組は帰国まで時間がありますので、その間船をホテルにすることが可能になりました。当然クルーズ代金は100%払い戻しされます。

さらに今後のセレブリティの全てのクルーズに対して50%の価格で乗船できる特典を加えました。そして多くの乗客がチキタベキアから帰国の途についた後で、50%を100%(すなわち無料)で今後のクルーズに乗船できる特典に切り替わりました。この情報は旅行社を通じて乗客に知らされることになりますが、せっかくの英断も帰国前にすべきであったと思います。

このようにトラブルが発生すると、船側と乗客側に多大の苦痛と損害を与えます。私のような船に興味のある人間は「シメタ」と思いますが、一生に一度の地中海めぐりを楽しみにしていた乗客の落胆ぶりも理解できます。日本からの参加なら航空運賃も馬鹿になりません。また今回は初期段階での修復スケジュールが二転三転したことで、乗客に多大の迷惑をかけました。危機管理としては問題を残したと思います。船側としては初期段階で思い切ってキャンセルにすべきだったと、後になってしみじみ思ったことでしょう。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm