クルーズでレジオネラ菌に感染

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クルーズでレジオネラ菌に感染

クルーズでの病気といえばノロウイルスによる感染が広く知られていますが、このほど Olsen Cruise のバルト海クルーズでレジオネラ菌による感染者が出た模様です。レジオネラ菌による発症は水が原因であることが多く、日本では24時間循環風呂などで、衛生管理が悪いと発症することがあります。現在患者はストックホルムの病院に搬送され検査中です。

17泊のバルト海クルーズはすでに5つの港に寄航してストックホルムまで来ましたが、この病気の発症により、残りの寄航をとりやめ、ただちに英国のドーバーに帰港する予定です。Olsen Cruise では「現在感染症の原因が何であるかの特定とストックホルム以前に寄航したどの港で感染したのか、詳細を調査中」とのコメントを出しています。そして船はストックホルムを出航しますが、患者は当分の間、ストックホルムの病院に滞在します。このクルーズは日程を2日間短縮したために、ドーバに帰港したあと2日間かけて徹底的に消毒をする予定です。

レジオネラ症は1976年のアメリ在郷軍人の大会で大量発生し、肺炎に似た症状のため、在郷軍人病とも呼ばれています。水が感染源で抗生物質で治療しますが、通常の肺炎で使用する抗生物質は効果がなく、特別の抗生物質が必要です。

レジオネラ菌による発症は今回が初めてではありません。10年以上も前に、セレブリティの船で発生したことがあります。その時はスパのフィルタが悪いと断定され、メーカとの裁判沙汰になり、このほどセレブリティは莫大な補償金を手にしました。また日本でもびいなすの2002年末「台湾周遊ニューイヤークルーズ」参加した乗船客2人が、レジオネラ菌感染症患者であることが分かり大騒ぎとなりました。感染源は船内大浴場の浴槽水と特定されています。基準値の1500倍ものレジオネラ菌が発見されました。

びいなすはニューイヤークルーズの最終日にレジオネラ菌が原因であることが判明したにもかかわらず、その後4回もクルーズを実施する失態を繰り返し、結局「アジアクルーズ」(約一ヶ月)を中止するという大きな犠牲を払いました。また乗客による訴訟もあり、その後の信用回復に大変苦労しました。業界横並びの世界ですから、この事件を他のクルーズ船も大いに勉強したことでしょう。ですから現在は安全だと信じていますが・・・

レジオネラ菌の感染は水回りの衛生管理をしっかりとしておけば発生しません。それだけに、「高級が売りもの」のクルーズでの発症は欧州とはいえ、残念でなりません。日本のクルーズ船もこの事件を真剣にとらえ、改めて念には念を入れて、水管理をもう一度見直して欲しいものです。日本船の最大の特徴である展望浴場を多くの人が楽しむだけになおさらです。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm