クルーズと環境問題

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クルーズと環境問題

環境問題が世界的な広がりを見せている現在、クルーズ業界も環境問題については真剣な対応をしています。クルーズの場合、環境的に大きな問題になるのは事故などによるオイルの流失です。例えば地中海で沈没したルイス・クルーズの場合、多量のオイルが海水中に流れ出ました。この場合は2億円近い罰金が科せられました。

事故でない場合、排水、大気汚染、固形物などの海中投棄に加えて、燃料消費の削減などがその対象となります。中でも排水処理は大きな問題です。排水には船底にたまる汚水(ビルジ:油などが含まれる場合もある)、シャワーなどの排水、トイレやドレンなどから排出される水の三種類に分けられます。これらの排水をそのまま海中に排出することは水質汚濁に結びつき、環境問題を引き起こす最大の問題です。

しかしこれがなかなか進まないのです。一例としてバルト海を航行しているクルーズ船やフェリー会社50社に排水の自主規制に関する意向調査をしたところ11社しか前向きの回答がありませんでした。しかし業界が無関心なわけではありません。最新式の排水処理装置を備えたり、色々と努力をした結果、この10年間に、クルーズは毎年7%の増加を示しているにもかかわらず、排水量をほぼ半減しています。

また大気汚染に関しては、港に停泊中には、陸上から電源供給を受けたり、中にはエンジンの排ガスを海水で洗う装置までつけている船さえあります。また燃料を効率的に使用するために、航路やスピードの調整をしたり、様々な試みもなされています。燃料消費量の削減は環境にやさしいだけでなく、原油高騰の昨今、もろに経済的に影響を及ぼしますので、だまっていても燃料削減の努力は続くことでしょう。

またリサイクルも盛んです。使用済み料理油を有機栽培農家に提供したり、ガラスやメタル、木材、紙などのリサイクルもまた盛んに取り組まれています。私達乗客も、大量に食べ残したり、水を浪費したりしないように気をつけなければなりません。

しかしながら、クルーズ船の全体の船舶にしめる割合はわずか0.2%にしかすぎません。かなり前、関門海峡のど真ん中で沈没した中国船を中国がそのまま放置したり、北朝鮮の船など、かけがえのない海を守るための努力をしない船も多数あります。領海の内側なら、その国が厳しく取り締まりますが、公海上では国際的に取り締まるのは極めて難しい状況です。

クルーズ業界が率先して、「かけがえのない地球を守る」模範を示して貰いたいし、またその動きも極めて活発なのは嬉しいことです。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm