バーゴ乗船記 その2

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バーゴ乗船記 その2

ショウに驚く

三晩連続の「歌と踊り」のプロダクション・ショウという豪華版でした。「歌と踊り」すなわち、ダンサーとシンガーは別段目を見張るほどのものではありません。でもマジックや中国雑技団(アクロバットチーム)?に新体操、シンクロチームに、体操の選手や、重量挙げと思しき男性の人間ショウなど実に多彩です。パンフレットには、現役時代にはいずれも世界有数の選手であったと記されています。

このようなスポーツ選手たちもシームレスにダンサーやシンガーと渾然一体になって、ショウを構成しているものですから、区別がつきません。ただ中国雑技団は中国人だから判別はできますが、かれらも歌と踊りのチームと見分けがつかない衣装なのです。

それぞれの実力者が彼らの持つ世界一流の得意技をたくみにショウとして進化させていますので、「それほどでもない」シンガーやダンサーと区別がつきません。ですからショウに見違えるほど深みがあり、また幅が広くなり、見るものを唸らせます。スポーツをショウ化したものにはアイスダンスがありますが、これはあくまでフィギャー・スケートだと観客にわかります。でもバーゴのショウはもっともっとショーの中に溶け込んでいるのです。このようなショウを見たことがありません。

圧巻はこれらスポーツ選手たちが全員登場した最終日です。総勢30人もの演技者が勢ぞろいで、広い舞台が出演者で埋め尽くされ、凄い物量に圧倒されました。素晴らしい演出家がいるのだなあと感心しました。 でもこのショウもいつまでも同じ事をするわけではないので、どのように変化してゆくのでしょうか?

中国の風俗・習慣を嫌う人のための配慮も十分です。

●何かと物議をかもす「フォーマル・ナイト」がありません。カジュアルで通していますが、皆さんそれなりにお洒落を楽しんでガラ・ナイトはとても楽しいです。でも襟付きの上着など最低限のマナーはキチンと守らせているようです。

●ショウは写真撮影禁止ですが、コスタは中国人のやりたい放題でした。ところがバーゴは一人でも違反者がいると、係員がすっとんできて注意します。

●ショウは相変わらず出たり入ったりが多い中国人ですが、途中の出入りは劇場後方からしか許しません。うまくコントロールされています。

●それでも中国の風俗・習慣が嫌いだという人は、洋食レストランへ行けばいいのです。洋食レストランででも中国料理を楽しむことができますが、座席はわけています。また中国風が好きだという人は中国レストランへ行けば、大いにその雰囲気を楽しむことができます。

そんなわけでコスタやラプソディとは異なり、中国の風俗・習慣の嫌いな人はそれなりに、好きな人もそれなりに、違和感なく楽しめるシステムには大いに感心しました。 アジアでのクルーズは風俗習慣の異なる多民族の集合体です。そのような乗客が違和感なく楽しめるようにする、経験の蓄積に、欧米のクルーズ会社は学ぶべき点が数多くあると思います。


藤原雄一郎のクルーズワールド

http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm