ダイヤモンド・プリンセス、長崎を抜港

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ダイヤモンド・プリンセス、長崎を抜港

毎年里帰りが慣例になっている、ダイヤモンド/サファイヤプリンセス。それが今年3回寄港するはずであった長崎寄港がキャンセルとなりました。

原因は昨年11月から義務つけられた外国人に対する指紋押捺と顔写真撮影です。ただでさえ短い寄港時間なのに、入国審査に長時間を要し、外国船からクレームが出ていました。それが抜港として、明確に船会社が意思表示をしました。もちろん抜港はこれ以外にも燃料油の高騰という理由もありますが、入国審査の煩わしさは何とかしないといけないと思います。

入国管理法には「特別上陸許可」という項目があります。

その「特例上陸許可」の中でも一番安全な

(イ) 寄港地上陸許可
 SHORE PASS と言い、航空機や船舶に乗っている外国人乗客で日本を経由して日本以外の地域へ赴こうとするものが、買物や休息等一時用務のため、乗っている航空機や船舶が寄港した出入国港の近傍(原則としてその出入国港の所在する市町村の区域内)に72時間以内の範囲内で上陸することを希望する場合に与えられる許可です。

がクルーズの場合該当します。例えばシンガポールでトランジットの時間が数時間もあるので、街の観光や買い物に出かけようかというものです。その時にいちいち指紋押捺や顔写真撮影で延々長蛇の列ではたまったものではありません。確かに航空機の場合は格安航空券もあり、上陸して行方をくらます人がいるかも知れません。でもクルーズの場合は結構高額で、しかも日本に到着するまで船内で生活する時間も長いのです。指紋押捺を省略したからと言って不法入国する確率は極めて少ないと思います。

国交省では「ようこそ ジャパン」と観光立国を目指しながら、その一方で法務省による「観光立国阻止」のような「省益あって国益なし」の縦割り行政には絶望を感じます。景気が先行き不透明で停滞の可能性が大きいときに、姉歯事件で建築基準法を厳しくしたのは良いけれど、事務能力が大幅に遅れて建設不況をもたらした「官製不況」のクルーズ版が「指紋押捺・顔写真撮影」だと思います。

指紋押捺をどうしてもしたければ。もう少し乗客の利便性を考えて行って欲しいと思います。空港ではクルーズの場合のように長時間も足止めをくうことはありません。現場を良く見れば改善の方法はいくらでも見つかるはずです。社会保険庁の標準報酬月額改ざん事件や、自己米での農水省の対応など、お役人は一体どこを見て仕事をしているのでしょうか。「公務員は国民の公僕である」という原則は一体どこに消えたのでしょうか。