日本のクルーズは近いうちに大きく変わる?

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日本のクルーズは近いうちに大きく変わる?

日本はまぎれもなく旅行大国です。国内旅行は年間3億人、海外旅行は最近の減少が激しいとはいえ、年間千七百万人です。それに対してクルーズは年間僅か17万人で特に外国船を利用している人々は5万から6万人にすぎません。

「日本人は何と言っても温泉に美味しい食事で浴衣にスリッパが性格的に合っているのよ」との声を聞きます。確かにそうでしょう。だから国内旅行3億人に対して、海外旅行はその一割にも満たないのです。でも海外旅行は千七百万人もいます。その一割がクルーズを楽しめば、年間百万人突破は容易です。

人気の海外旅行の内容を皆さんはご覧になったことがあるのでしょうか。「一日に何カ所名所旧跡を巡ることが出来るか」を競い合っているかのごときプランです。とにかく強行軍です。そして「食事に、宿泊、観光」すべてがセットになった「お任せ旅行」です。だから「プールサイドで甲羅干し」の「のんびり、リラッックスのクルーズは日本人に向いていない」との声が聞こえてきます。これもたしかにその通りです。それにしても日本のクルーズ人口は少なすぎます。

私たちが旅をするとき、どのような行動を取るでしょうか。大切な役割を担っているのは旅行社です。全国にくまなく張り巡らされた旅行社がその接点になります。そして一端顧客になると、恐らく何千万という家庭に膨大なダイレクトメールが送られてきます。そして人々を次なる旅に誘うのです。

一方クルーズを専門とする旅行社の数は極めて限られています。そして旅行社もお客も一種の「鎖国状態」で、一般旅行とは隔離された「楽しい別世界」に住んでいます。ですから一般の旅行社の店頭でクルーズ経験者に出会おうものなら大変です。乗客の質問には、経験のない社員は答えることが出来ません。

これからは全国に張り巡らされた、旅行社の「やる気」がクルーズの将来を大きく左右します。そして時代は変わってきつつあります。力のある某大手旅行社が「夢の豪華客船」とスーパースター・アクエリアスを新聞の全面広告で訴えます。クルーズファンにとって「この何とも言えない違和感」が現在密かにクルーズに浸透しつつあります。

このような大手旅行社の動員力は凄まじいものがあります。ですから添乗員にクルーズを良く知った人を揃え切れません。するとどうなるか?「陸上おまかせ旅行」の経験者は何もかもお任せです。そのような乗客が特に外国船クルーズに乗船すると「クルーズ素人の添乗員」のもと、一挙に船の中に放り出されたような気持ちになります。

今回のレジェンドで私は「クルーズは陸上海外旅行に比較して英語が理解できないと全くダメだから」との声を何度も聞きました。素晴らしい日本人コーディネータが立派な日本語船内新聞を発行しているのにこの状態です。クルーズ専門会社の添乗員では全く考えられない「お粗末きわまりない」添乗員がいるためです。

このような傾向は日本の船にも出つつあります。団体が入り込むことによって場違いな黒い衣装の添乗員がウロウロし、なれない乗客でしばしば船内は異様な雰囲気になります。

私は何も陸上旅行社がクルーズに参入することを非難しているわけではありません。どうも見ていると、陸上旅行社自身が「クルーズは特殊なものではない。むしろ陸上旅行に比較して手数がかからず、儲かる」と気がついたようなのです。ですから今後経験を重ねるにつれて、このような違和感も次第に収まってくると見ています。

そしてその時こそ、日本のクルーズ人口は百万人時代を迎えることでしょう。でも現在のクルーズの雰囲気は大きく変わると思います。特に乗客層が限定されている、日本の船は、今後の動向に大いに気をつけないと大変なことになると思います。

日本のクルーズ人口はまもなく、陸上旅行社の参画と、その動員力で確実に増加すると見ています。そして日本のクルーズの雰囲気も大きく変わることになりでしょう。私を筆頭に従来の「クルーズ鎖国の住人」には大きなカルチャーショックが押し寄せると確信しています。