アザマラクエスト乗船記 最終回

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アザマラクエスト乗船記 最終回

さて「設備の豪華さ」「乗客の織りなす雰囲気」に加えて「食事を含むサービス」の中での食事まではいささか「褒めすぎ」の報告をしてきました。さてそれ以外のサービスはどうでしょうか。

端的に言って「素晴らしい設備と乗客に恵まれながら、それを生かす船側の魂(たましい)の入れ方」に不満を覚えました。

クルーですが、一般の大衆船と変わりません。日本の船と比較すれば、日本の船の方が教育が行き届いていると思います。もちろんクルーも色々で、とてもフレンドリーな楽しいクルーもいますがそれは「本人の資質」で船として統一した姿勢は特に感じませんでした。

随所に整備不良が見られました。ドアはギシギシ、緑青の残る金属類(これはアメリカのピカピカ思想と異なり、古いものを大切にする欧州との考え方の相違かもしれません)。ブッフェ後方のオープンデッキの扉は開かない。(寒いから開かないようにしているなら、その旨表示すべきです。強引にこじ開けてもクルーは知らぬ顔)

呼び物の「バトラー」はルームスチュワードと何が違う?バトラーの名前が泣く状態です。これならバトラーと表現しないほうが良いと思いました。毎日利用しているグラスは10日間のうち一度だけ洗ってくれました。でも部屋の掃除や夜のベッドメーキングは私たちの挙動を良く見てくれていて、不在の時にキチンと素早く仕事を終えてくれていました。大衆船ではいつも部屋の掃除がいつになるかわからずイライラしますが、この点はとても良かったと思います。

フロントの黒人女性の愛想の悪いこと。必要最低限の対応しかしてくれません。自分の範囲だけを守って、範囲外のことは「知らぬ、存ぜぬ。ハイ終わり!」です。サービスの基本が理解できていませんね。怒りを押し隠した乗客の顔を何度も見ました。

エンターテイメントを盛り上げるのはクルーズディレクターが一人で大活躍です。日本船や他の外国船に見られる、イベントを盛り上げるスタッフを見かけませんでした。でもこのクルーズディレクターは乗客の中にうまくとけこみ、私なども何回もお話させていただくチャンスがありました。

ダンス教室などもクルーズディレクターが先生です。そしてショウもこじんまりとはしていますが、なかなかの実力者揃いで楽しいものでした。さすがに大規模な歌と踊りのプロダクションショウではなく男性二名、女性三名の構成で、全員が「歌が歌え」「踊りが出来て」「セリフを喋る」ことが出来る芸達者で、それなりに楽しいものでした。

ルネッサンスの名船Rシリーズの素晴らしさは存分に保持されていましたが、その素晴らしい船に魂(たましい)を入れる気迫がもう少しあればと思いました。まさに『画竜点睛を欠く』とはこのことであり、しかもとても重要な「点睛」が欠けていたという印象を受けました。

最後に日本語対応ですが、これは皆無です。でもこれだけの安売りにもかかわらず、日本人が三組六名だったのですから、当然と言えば当然だといえるでしょう。日本の船にこのようはRシリーズのハードがあればどんなにか良いだろうにと思いました。

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