クイーンメリー2(QM2)英国周遊

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クイーンメリー2(QM2)英国周遊

念願のキュナード初乗船を果たしました。2009年10月 クイーンメリー2 就航五周年記念 英国周遊クルーズです。
http://inox-m2.com/report/cunard/qm2/zenbo/
http://inox-m2.com/report/cunard/qm2/keiji/

キュナードについてはシルバーシー、シーボーン、クリスタルなどに匹敵するラグジャリー船なのか、それともRCIやプリンセス、セレブリティなどと比較すべき船なのか、によって評価はとても違ってきます。一般的にはキュナードといえばシルバーシー、シーボーン、クリスタル級の超高級船と思っている人も多いようです。でも事実は違います。ですから最初に論評するときにこの点を明確にしておかなければなりません。

このような混乱が生じるのはキュナードにはグリルクラスというのがあって、ダイニングなどが別になっているからです。ダグラスワードの評価でもグリルクラスはシーボーンなどのラグジャリークラスに評価されていますが、一般のブルタニアクラスはRCIやホーランドアメリカなどと同等の評価です。今回私が乗船したのはブルタニアクラスですから、これははっきりと「大衆船」だとの認識を持ってください。そしてそのような頭でいろいろな報告を見て頂きたいと思います。

良くキュナードについて「差別がある」とか「区別がある」とか言われることが多いのですが、そのようなことはパブリックなスペースでは一切見かけませんでした。日本の船ではショウの座席に「スイート専用席」と書いてあって、座るとどかされて嫌な思いをしますが、キュナードの場合は一旦グリルクラス専用の場所から一般の場所に出てくるとそこには区別も差別も一切無いように見えます。(実際は目立たずにスマートにグリルクラス優先があるのかもわかりませんが)これは日本の船も見習うべき点だと思います。

さて前置きが長くなりましたが、15万トンという巨大船にもかかわらず、乗船・下船もきわめてスムースで、15万トンの割には乗客の数も抑えられていますので、きわめて快適で、しかも清潔で、装飾も重厚な落ち着いた感じで、とても気に入りました。ただブッフェが七階で、私の好みであるオープンデッキでの飲食ができないのがガッカリでした。英国人好みのライオンパブをはじめ、ビッグバンドの生演奏でのダンスなど「さすがキュナード」と思わせるものがありました。

ただ食事はアジアンメニューが無く、ブッフェは常に込み合って、座席を探すのに苦労するなど、食事の面で若干の不満が残りました。またクルーのレベルもRCIやHAL、セレブリティの方が上だと感じました。でも大衆船と考えれば評価はかなり高いと思います。

今回は五周年記念ということもあったのでしょうがフォーマルが八晩中四晩と多く、またタキシード率が95%程度と極めて高いのが印象的でした。乗客の皆さんがとても良く、私の主張するクルーズの三大要素である「乗客の織り成す雰囲気」はとてもよかったと思います。また「設備の豪華さ」も乗客の数をおさえ、極めて満足できるレベルだと感じました。三大要素最後の「サービス」については食事とクルーのレベルに不満を感じましたが、ショウやイベントなどは満足すべきレベルであったと思います。総評としては「満足度が高く、また是非乗船したい」と思いました。

同時にキュナードといえばタイタニックの伝統を受け継ぐ、何となく堅苦しい、豪華客船であるとの誤った印象をぬぐい去ることが必要だと思います。ホーランドアメリカやセレブリティなどの船に乗る気持ちで、気楽に楽しむことが出来る、言葉は悪いですが「大衆船」だと思って利用すれば高い満足が得られると思います。

そしてシルバーシー、シーボーン、クリスタルなどのレベルの高いサービスを望むならば、クイーンズ・クラスを選ぶことです。でも一旦パブリックスペースに降りてくると、サービスレベルはガクンと落ちますから、「貴族の生活から一日に何度かは庶民の生活にも馴染んでみたい」と思われるむきにお勧めです。終始高いサービスレベルを望むならシルバーシー、シーボーン、クリスタルを選ぶべきでしょう。