価格は正直

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価格は正直

日本のクルーズ人口15万人に対して国内旅行は年間1億6千万人、海外旅行1千6百万人です。陸上ツアーで人気の某旅行社の格安沖縄ツアーに「物は試し」と参加してみました。国内外を問わず、旅行社のツアーに参加したのはこれが始めてです。(通常は航空券、ホテルはバラ買いをしていました)

神戸空港から那覇まで正規運賃が5万4千円もするのに、ツアー代金僅か3万7千円 それでいて航空券、添乗員、全ての食事、ホテル代、観光込みです。確かに格安です。

安値の秘密は神戸発は午後便でJAL、那覇発は午前便でANAですから二泊三日は実質は二泊一日になりますが、利用者の少ない便の航空運賃の大幅安値引き出しに成功しています。ホテルと食事は「問題外の外」で論評する気にもなりません。特に食事はまずいことおびただしい!!価格は正直ですから、価格相当の旅で特段のサプライズは無いということがよく理解できました。

添乗員は沖縄現地対応ですが、添乗員とバスガイドは素晴らしかったです。そして観光地はツアー料金が高値であれ、安値であれ、変わらず魅力的ですから駆け足の名所旧跡めぐりは結構楽しかったです。この会社のツアーは国内外を問わず大人気で素晴らしい集客力を持っています。数にものを言わせた絶大なる交渉力で安値引き出しが出来て、好循環になっているのでしょう。若い人も多く、皆さん満足しておられたようです。

この会社のツアーは「名所旧跡をかなりの強行軍でまわる」のが売り物ですから、旅行の質よりも名所旧跡の魅力を前面に打ち出して成功しているのだということが「いやというほど」理解できました。利用者の心理をたくみに掴んだ企画だと思いました。

この旅行社のように膨大な数の旅行者を背景にコスト低減は可能だと思いますが、コスト低減にも限度があります。大きな目で見ればクルーズの世界とは全く別物で、クルーズと同じ質を求める旅行となれば、価格はクルーズ並みになってしまいます。結局のところ価格は価格であるということがわかります。

日本のクルーズの価格は三隻ともほぼ同じレベルですが、外国の船は選択肢が豊富で価格にも大きなばらつきがあります。超高級船であるシリバーシーのお客様がカーニバル・リバティに始めて乗船し、クレームがつけたそうですが、価格が4倍も違う船を比較してもナンセンスというものです。

同じ15万トンの船でもフリーダム・オブ・ザ・シーズは乗客数4,320名、乗員数1,360名に対しクイーンメリー2は乗客数2,620名、乗員数1,253名です。サービスの質は歴然としていますが、やはり価格は正直ですから、それなりの対価を支払わなければなりません。

同じ旅行社でクリスタルの愛好者がたまたまダイヤモンドプリンセスに乗船し、旅行社自体の対応がクリスタルと異なるとクレームする場合がありますが、価格競争のスタンダード船であるダイヤモンドと富裕層対象のクリスタルを同列のあつかいにしたら薄利多売の旅行社は倒産してしまいます。

外国船の場合は特に「価格は正直、値段相応」ということをキッチリ頭に叩き込んでおく必要があります。またスタンダード船は規模により経済効果が格段に違いますので、同じ価格帯でも11万トンクラスの新鋭船と古い3万トンクラスの船ではかなり違います。また競争状況によっても価格は異なりますので、注意が必要です。

その意味ではカリブ海はとてもお得だと思います。ですからアメリカ人はカリブ海に殺到するのでしょう。今回の沖縄格安ツアーでしみじみと「価格は正直」だと思いました。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm