プライド・オブ・ハワイ ハワイ路線から撤退

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プライド・オブ・ハワイ ハワイ路線から撤退

「NCLアメリカはハワイで大博打を打った。そして負けた」と表現される事態が発生しました。NCLアメリカはプライド・オブ・アロハ/ハワイ/アメリカの三隻そろい踏みでハワイのクルーズ市場の独占をもくろみました。しかしその夢ははかなくも散ってしまいました。

プライド・オブ・アロハは2008年には現在の路線を撤退し、10〜11日のロングクルーズへ変更です。そしてこのたびプライド・オブ・ハワイが2008年に船籍をアメリカからバハマに変えて、ヨーロッパへ投入することになりました。そしてハワイ7泊ツアーはプライド・オブ・アメリカ一隻になってしまいました。まさに博打に完敗です。

その原因はあきらかです。ハワイの近くには外国がありません。ですからカポタージュ条約により、船籍はアメリカにしなければハワイ4島クルーズは実施出来ません。しかもハワイでは乗組員を全員アメリカ人にすることが義務つけられています。給与水準の高いアメリカ人はクルーズ乗組員として適切ではありません。給与水準が低くて優秀なフィリピン人などの乗組員に太刀打ちできないのです。(オフィサーは別です)

結局ハワイ航路はクルーズ単価が高くなり、最近ではロス発着のハワイ航路の進出もあって、プライド・オブ・ハワイの採算は良くなかったようです。ロス発着のハワイ航路なら近くのメキシコにほんの少し寄港すればアメリカ船籍でなくてもOKですし、乗組員全員アメリカ人との束縛もありません。わざわざアメリカから飛行機に乗って、割高のNCLアメリカの船に乗るより、よほど利便性もあり、価格も安いのです。

日本のクルーズが高いのも日本船籍でしかも日本人乗組員が結構多いこと、しかも小さな船でスケールメリットが出ないことがひとつの原因です。しかし船が小さいことが幸いし、競争が厳しくありません。ですから繁盛しているのです。外国船も日本の特殊事情を理解して、日本市場は完全無視です。(寄港地としては魅力的だが日本発着の定期クルーズは全く外国船の視野に入っていません)ですから高価格が維持できるのでしょう。

NCLアメリカの今回の事情は私には十分予測が可能でした。ハワイ四島めぐりは観光を目的とすれば高価なオプションの陸上ツアーが必要ですから、はっきり言ってハワイ観光を目的とするならば、飛行機でのツアーのほうがよほど良いでしょう。船旅を楽しむのが目的なら国際的に慣れた乗組員の多い、しかも選択肢が豊富なアメリカ西海岸がお勧めです。何も値段の高いハワイでクルーズすることはありません。しかし時間のある人はNCLアメリカの10〜11泊クルーズを楽しむことが出来ます。こちらは単価も安い普通のクルーズですから。

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm