クルーズと皆様の善意

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クルーズと皆様の善意

ついせんだって、びいなすの「種子島屋久島クルーズ」へ年老いた母の「親孝行クルーズ」に弟と母と私の三人で行ってきました。現在は施設暮らしの母にとってクルーズはまさに「命の洗濯」であったようです。母は今回で7回目のクルーズでしたが、毎回、毎回、皆さんの暖かい善意につつまれて、生き返っています。

出発前、連日の猛暑で、施設での歩行訓練が思うにまかせず、「歩けない。クルーズに行けるかな」と心配していましたが、「クルーズで歩行訓練すれば良いからね」と慰めましたが母は半信半疑でした。あらかじめ、乗下船時の車いすを申し込んでいましたら、港について受付前から乗船まで至れり尽くせりのケアーです。こちらが恐縮するほどでした。

母は手押し車のような歩行補助機でまるで「かたつむりの歩み」です。まず母の大好きなセイルアウエイを見に行きました。デッキにある椅子はわずかで、当然他の乗客が座っているのですが、母の無惨な姿を見て、すぐに席を譲って頂き、その上やさしい言葉をかけて下さいます。そしていよいよ出航の音楽で皆さんが踊り出すと、母は手をリズムに合わせて振っているではありませんか。心の底から喜んでいます。

まるで「かたつむりの歩み」の自立歩行ですが「一旦車いすに安住したら自立歩行が出来なくなる」との堅い信念を母は持っています。そこで7階のフロアをダイニングから反対側のホールまで、「イチ、ニイ、サン、シ」と数を唱えながら一日に何回となく歩行訓練をしています。その懸命な姿勢に、時々お客様から声がかかり、暖かく励まして下さいます。また7階の東欧のお嬢さんウエイトレスが夜食の時にとおりがかると、必ず母の肩に手をよせて、たどたどしい日本語で「おばあちゃん。おやすみなさい」と声をかけてくれます。すると母は「サンキュー グッドナイト」と答え暖かい交流が生まれます。

私は常日頃から7階の東欧のお嬢さんウエイトレスは世界一だと思っています。どんなに忙しくとも笑顔を絶やさず、急いで注文を取りに来て、すぐサーブしてくれます。そしてカップやお皿を下げる時、必ず「おかわりはいかがですか」と聞いてくれます。世界最高峰を誇る某船でティータイムで注文した品が来なかったり、間違った経験はいくらもあります。びいなすのこのお嬢さんたちを少しは見習って欲しいものです。

びいなすでは過去にもとても素晴らしい乗客との出会いがありました。そして現在も母とメールのやりとりをして下さっているお客様もいます。みなさんとても暖かく母に声をかけて頂くものですから、本当にびいなすから毎回元気をもらっている母です。

こんなことがありました。食事も終わりに近づいた時に隣にご夫婦がお座りになられました。一言、二言言葉をかわし、先に失礼しましたが、席を立った時に「失礼ですが藤原雄一郎さんですか」と声をかけて頂きました。母はびっくりすると同時に「馬鹿息子が見知らぬ人から問いかけられるほど有名??なのか」と誇らしく思ったのでしょう。「私もしっかりしなければ」と早速部屋に帰り、服装を整えるのです。弟に「お前もしっかりしなさい」とすっかり母親を取りもどし教育的指導までしているではありませんか。突然のことでお名前を伺うことを忘れてしまいましたが、母に大きな刺激と「生きるハリ」を与えて頂き誠にありがとうございました。紙面をかりてお礼申し上げます。

このようなわけで、母はクルーズを思う存分楽しみ、多くの皆様の善意とびいなすの素晴らしいホスピタリティで、いまも余韻を楽しんでいます。今や母にとってクルーズは「生きる活力」として必要不可欠の存在になっています。皆さんもこれほどまでに効果絶大の「親孝行クルーズ」してみませんか?

藤原雄一郎のクルーズワールド
http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm