にっぽん丸改装 続報

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にっぽん丸改装 続報

改装計画についてにっぽん丸のHPに正式に発表されました。船体もかなり凛々しく、素晴らしいです。
http://www.cruise-mag.com/news/img/871-1.jpg
さらに従来40平方米であった2室のスイートが何と79平方米になりました。内装はこのようにゆったりしたものです。
http://www.cruise-mag.com/news/img/871-2.jpg

そしてビスタスイート4室が37?46平米、3室のジュニアスイートは31平米、デラックスV16室が24平米で以上合計25室にバルコニーがつきます。従来はスイートですらバルコニーがなかったですから、大きな改善といえます。多分お値段も結構するのでしょうね。

前回述べましたように
●飲食施設の充実(プレミアムダイニング新設、寿司コーナー新設、バー増設)
●スパの新設(既存の理美容室、ネイルケア、ボディケア、アロママッサージを統合)
●ビスタラウンジの新設、スポーツジムの拡充、ウッドデッキの新設 等

の改善もあり、良質なクルーズを楽しめそうです。

さてこの背景についての雑誌「クルーズ」の見解を紹介します。私も懇意にさせていただいている、雑誌クルーズの新社長もことのほかお喜びです。

<解説>
 商船三井が、クルーズ事業で遂に積極攻勢に転じた。商船三井客船(MOPAS)が、数十億円をかけて、にっぽん丸の大改装に踏み切るもので、伸び悩む日本クルーズの起爆剤となりそうだ。
 海運界では、各分野で日本郵船を凌ぐ実力と業績を上げている商船三井だが、唯一大きく遅れを取っているのが、「老舗の事業」ともいわれるクルーズ客船分野。クリスタル・クルーズと郵船クルーズを運営する日本郵船は前3月期、売上高500億円、50億円ほどの利益をクルーズ事業で挙げた見通しだが、MOPASは、前々期こそ数億円の利益を計上したものの、前3月期は燃料油価格の高騰もあって業績は厳しく、飛鳥?就航以来その差は拡大する傾向にあった。

 その一方で、今年ぱしふぃっくびいなす(日本クルーズ客船所属)を含めた日本船3隻が同時就航した世界一周クルーズでは3隻とも空室が目立ったものの、団塊の世代リタイアブームもあって、にっぽん丸はロングクルーズ以外の2泊から1週間ほどのショートクルーズがどれも満席、オーバーブック状態になっている。このキャンセル待ち客のために、急きょ新しいクルーズを追加するという状況も生まれていた。
 しかし、積極策、つまり新造船や中古買船を検討しようにも、折からの「造船好況」によって船価が高騰、船台自体確保できない環境が続いている。そんな中で選択したのが、にっぽん丸の大改装だったわけだ。元々、「食」を筆頭に船内サービスには定評があるMOPASだが、ハード部分では、「国際級」とは言いがたい仕様がハンディとなっていた。

 今回の改装では、ベランダ付きスイートの設置などで上級カテゴリーの定員を増加させ、さらにプレミアムダイニング、寿司コーナーの新設によって食に一層の磨きをかけるほか、外国船で人気が高いスパ、あるいはビスタラウンジの新設など国際的にも人気のある施設を導入、これらパブリックスペースの改善で船上での消費増も目指す意向。

 これまでどちらかといえば、消極的との印象も持たれていた商船三井のクルーズ事業だが、根強いMOPASファンの中には、商船三井の株主となっている人も多く、クルーズ事業の充実は、企業イメージのアップによる安定的な個人株主の育成にもつながるかもしれない。

 クルーズ界は、2006年ベッド・ナイト・ベースの乗客が100万人を突破するなど、一時期の低迷を脱して、市場は上向いており「団塊の世代リタイア」効果が徐々に出てきている。しかしこうした新しい需要層向けの仕様の船を造ろうにも、「手がない」中での大改装であり、こうした世代にもアピールすることができることになる。

 業界をリードしてきた郵船クルーズに続いてMOPASが積極策を打ち出す「にっぽん丸効果」、さらには今年から本格化している外国クルーズ客船の東アジア登場の加速によって、市場がさらに膨らみを見せるのは確実。
 MOPASは、こうした市場の盛り上がりを作り出しながら、年々確保が難しくなっている上質の乗組員を確保しつつ、新造船市況の沈静化を待つことで、近い将来の新造船につなげていくという未来戦略を描いているものと見られ、今回こうした目論見を実現するきっかけをつかむことになった。

藤原雄一郎のクルーズワールド

http://inox-tabi.com/cruise/cruisetop.htm