あくまで強気の外国船経営者  マイアミコンベンション

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あくまで強気の外国船経営者  マイアミコンベンション

今年も恒例のマイアミ・コンベンションが始まりました。クルーズ業界の首脳が集結する会議ですから、今年は特に関心を持っています。会議冒頭の首脳陣によるパネルディスカッションの様子が漏れてきました。

注目の景気後退については各首脳も縷々述べていますが、それは2008年のことで2009年以降についてはバラ色の予想を語っています。年に一度のお祭りであり、「景気は気分から」といいますから、それも仕方のないことでしょう。ここで首脳陣が悲観的な予想を語れば、市況は一挙に総崩れになると考えているのでしょう。

でもMSCの首脳が「1980年代の大失業時代、また2001年の9.11テロ事件でもクルーズ業界は成長を続けた。だから今回も大丈夫だ」とかNCL首脳の「ある日目覚めたら資産は半減していた。でも2009年は失われた年にはならないだろう」との言葉を聞くと「この人たちは経営者として適格なのだろうか」との疑いまで感じます。なぜならこのような楽観を感じさせる新しい政策が全く語られていないからです。まるで第二次世界大戦の日本軍のようです。

さて価格面では各首脳とも自社の政策を声高くPRし、いかにクルーズに参加しやすい環境整備に努めたかを語っています。その中でセレブリティの上級ブランドであるアザマラの首脳は「ブランドイメージを傷つけるまでの値引きはしない」と宣言している一方でホーランドアメリカの首脳は「船を乗客で埋めつくさない政策はナンセンスである。HALはとにかく船を満杯にする政策を採用する」と正反対です。

カーニバルはドル箱のカリブ海のショートクルーズを考えています。そしてアメリカのクルーズ人口の半分が車で港まで来ることが出来るような利便性を考慮すると共に、2009年夏に欧州に二隻配船していたのをキャンセルすることを考えているようです。これとは逆にロイヤルカリビアンとMSCは船腹を埋めるために南米、アジア、英国などにマーケットの拡大を目指しています。

新造船については若干のスローダウンはあるものの、クルーズ会社首脳は異口同音に近い将来にかならず新造船の需要は高まると述べています。その理由は22万トンの超大型船や新しいアイデア満載のクルーズ船の登場が市場を活性化するとの考え方です。昨今の景気後退にもかかわらず、2009年に14隻、2012年までに何と40隻が計画俎上にあります。同時に既存の船の改装も色々考えられているようです。

政府資金の注入を受けながら超多額のボーナスを受け取って平気なAIG経営陣。アメリカの経営陣の「どこまでも強気で、楽観的な」経営姿勢には驚かされます。今やプライド・オブ・アメリカ一隻となってしまったNCLアメリカの放漫経営を彷彿とさせるマイアミコンベンションの幕開けでした。