超高級船は値引き合戦に参加するか?

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超高級船は値引き合戦に参加するか?

マイアミコンベンションでのパネル・デスカションに興味深い項目がありました。それはこの経済危機で、大衆船が価格競争に巻き込まれている中、超高級船はどのような価格戦略を取るだろうかということです。

シーボーンのCEOは「価格は最も大きな訴える力になる」と信じていると前置きして、シーボーンとしてはかってない低価格で「今まで乗船できなかった乗客も乗船出来る」戦略をとると言ってます。それでも価格は7泊で2,800ドル、カップルで一泊あたり800ドルレベルだとのことです。船室のレベルを考えると日本の船よりよほど安いですね。

シーボーンのCEOは自信満々で「(価格低下で)一度シーボーンに乗船した乗客は新しい顧客として定着するであろう、丁度ファーストクラスの味を知った人がバスには乗りたくないようになるのと同じだ」と言っています。

クリスタルはシーボーンほどではありませんが、従来レベルから8〜12%の価格ダウンを行うと言っています。それに加えてオンボードクレジットの提供などのお得セットを計画しています。クリスタルの場合、チップは料金に含まれていませんので、オンボードクレジットは役に立つはずとの見解です。

この両社の意見に対してシルバーシー他の会社の役員から激しい議論がありました。「大型船は大衆船と異なり、超高級船は価格決定にあたってはブランドの価値を考慮する」などの違った考え方があってしかるべしとの主張です。

シルバーシーのCEOは「価格を下げて需要を拡大するという考え方もあるが、一端値段を下げたなら価格を元に戻すのは難しい」と指摘しています。その場合価格低下によりブランドを維持するのが難しくなるとも言っています。事実価格は下げないと宣言しているCEOもいるようです。

何だか甘い議論ですね。例えばIT業界や電機業界では熾烈な競争で「不可能を可能」にしています。「価格が下がるとブランドを維持出来ない」などと泣き言を言う企業は消え去るのが掟の業界に比較して、海外のクルーズラインといえども「ぬるま湯」に浸っているのでしょうか。

ともあれ事態は流動的です。価格ダウンや、価格は下げないまでも、その他のサービスのおまけがつくことが十分に期待されます。これからの推移を注意深く見守りたいと思います。